◆スポーツサイエンスとは?
「スポーツサイエンス」という言葉を聞いたことがありますか?その名の通り、スポーツによって得られる様々な効果を「科学的に」研究する学問のことですが、我々日本人は、スポーツと聞くと、つい競技スポーツだけをイメージしがちです。
しかし、現代のスポーツサイエンスでは、日常生活に必要な運動や栄養、メンタルヘルスについても幅広く研究されていますので、このコラムを通じて、みなさんの健康づくりにも取り入れていただければと思います。

◆1964年の東京オリンピックから発展
日本のスポーツサイエンスは、1964年東京オリンピックから始まりました。優れた競技者を育成すべく、世界のトップ研究者・指導者を日本に招いたところから、科学的理論に基づいた身体機能の向上が研究され、現在に至っています。筆者も当時20代の頃に、オリンピック強化コーチとしてその中にいた1人です。
◆競技スポーツとは異なる健康のためのスポーツ

研究が進むにつれて、健康的な心身を作ろう、維持しようとするためのスポーツは、競技スポーツとは理念も手法もかなり違う、ということも明らかになってきました。例えば、最近はコロナ禍の自粛生活が続き、「とにかく運動をしなければ!」と危機感を持っている方も多いでしょう。だからといって、メディアで話題のマッチョな先生を真似して、いきなり激しい筋トレを行うことは、健康的な体づくりといえるでしょうか?それより何より、呼吸循環器疾患の兆候のある方、糖尿病を患っている方々にとっては、危険極まりない事態が起こりかねません。
運動不足解消やリフレッシュのための運動は、筋肉隆々になる競技スポーツ選手のためのトレーニングではなく、ウォーキングなど負荷の少ない運動を継続することの方が大切なのです。
◆休息と栄養、身体のケアも大切に
健康維持のために運動は欠かせない要素ですが、運動なら何でも良いというわけではありません。また近頃では、休息と栄養、そして運動に伴って発生する活性酸素の対策も非常に重要なテーマとなっています。次回からは、〝健康寿命のための〟スポーツサイエンスについて、具体的にご紹介していきますので、どうぞお楽しみに。