◆そもそも糖質の働きとは?

最近、「糖質制限」や「炭水化物抜きダイエット」という言葉をよく耳にします。ご飯(お米)は糖質なので、太るのが気になるからご飯を食べないとか、甘い物・間食は絶対に駄目など、極端に気にする方もいらっしゃいますね。糖質について過度に気にする前に、まずは糖質の働きについてよく考えてみましょう。
炭水化物は体内に吸収されてエネルギー源となる「糖質」と、消化吸収されない「食物繊維」に大別できます。炭水化物から食物繊維が抜けたものが糖質で、これが血糖になって全身にエネルギーを供給します。糖質が不足気味だと、体はたんぱく質をエネルギー源として使うことが多くなります。たんぱく質を得るために筋肉が分解されるので、活力や長生きの土台となる筋肉が脆弱になりかねません。糖質を抜いたり、控え目にすると、見た目は〝やせる〞かも知れませんが、実際は筋肉が衰えて〝やつれ〞ているのかも知れません。
◆糖は摂りすぎも控え過ぎもNG
また、脳や神経系は糖質を唯一のエネルギー源としています。そのため、ご飯・うどん等の炭水化物は、一日の栄養摂取量の30 %以下になってはいけないのです。ダイエットのために糖質の摂取を著しく控えていると、病気に対する抵抗力が弱くなり、脳の働きが低下することで疲れを感じやすく、思考力が低下したり、イライラ・不安が募り、時には意識を失うと言われています。
一方で、摂り過ぎた糖質は脂肪となって、肥満・脂肪肝を招くことで体の動きが緩慢となり、益々肥満度が増すので、糖尿病・高血圧症・心臓病を誘発し短命の背景になることも分かっています。糖質は摂りすぎても、極端に控えてもいけないということです。

◆運動後は水分と糖質をしっかり摂取
もう一つ、運動や力作業の後には水分と共に糖質を摂ることを優先することが大切です。昔から山の中で働く木こりや強力(ごうりき・登山者や山小屋の荷物を運ぶ人)の昼食は、まず竹筒(今ではボトル)の水をごくりと飲み、大きめのおにぎり、大型の弁当が定番のようです。水分と糖質をしっかり摂取するこの習慣は、栄養学的にも理に適っているように思えます。
糖質を効率よく摂取するためには、ビタミンB1が必要です。糖質の分解に必要だからです。豚肉はビタミンB1が豊富な食材の一つです。玄米・胚芽米もビタミンB1が多く含まれているためお勧めです。糖質は健康な毎日を過ごすうえで必要不可欠な栄養素です。摂り過ぎはいけませんが、控え過ぎにも注意してくださいね。